アフターピルの作用と効果
アフターピルは、性交後に服用するタイプの緊急避妊薬です。
緊急避妊は日頃から常用できる避妊法ではなく、
あくまで緊急時の妊娠の確率を下げるための最終手段です。
例えば、性犯罪など性交の強要により妊娠の可能性がある場合や、
コンドーム付け忘れ・破れたりした場合など、思いがけないハプニングにより
避妊に失敗してしまった際に、緊急的な処置となります。
このアフターピルは、「モーニングアフターピル」とも呼ばれています。
アフターピルの服用が早ければ早いほど、妊娠回避の確率は高くなり、
性交渉後24時間以内であれば95%、72時間以内であれば75%の確率で
妊娠回避の効果があると言われています。
アフターピルはフランスで開発され、世界各国で販売されています。
有効成分は、黄体ホルモンの「レボノルゲストレル」です。
このレボノルゲストレルは、排卵そのものを止めるという作用を持っており、
受精する危険性を回避し、妊娠に至ることを防ぐことができます。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンからなる配合剤「ヤッペ法」は、
吐き気など身体に負担のかかる副作用が出やすいですが、
アフターピルは比較的副作用が少なく、避妊効果が高いことから世界中で広く使われています。
アフターピルの服用方法
アフターピルは中絶薬ではないため、すでに妊娠している方が使用するものではありません。
あくまでも、受精卵が着床する前に妊娠を阻止するためのホルモン剤です。
1回服用タイプのアフターピルの場合、性行為後72時間以内に、アフターピル2錠を1回服用して下さい。
2回服用タイプのアフターピルの場合、1回目を72時間以内、2回目を1回目の12時間後に服用します。
アフターピルの副作用として、服用後に吐き気をともなうことがあります。
服用後2時間以内に吐いてしまった場合は、薬の効果が得られない場合がありますので、
追加でピルを飲む必要があります。
念のためにアフターピルと共に、吐き気を抑える薬を処方してもらうと良いでしょう。
性交後、服用が早ければ早いほど妊娠回避率が高くなります。
アフターピルは決して常用しないで下さい。
継続的に服用する低用量ピルとは異なるため、アフターピルを常用することで
副作用が強く出る恐れがあります。
アフターピルの服用後、早ければ3日〜3週間以内に消退出血(生理)が起こります。
3週間経過しても、消退出血がなければ、妊娠していないか検査を受ける必要がありますので
医師にご相談下さい。
アフターピルを服用したからといって将来、子供ができにくくなるといった心配はありません。
アフターピルの副作用
アフターピルの服用により、体内のホルモン環境が変化するため、
副作用を感じる人もいますが、出方には個人差があります。
一般的に報告されているアフターピルの副作用として、
吐き気・嘔吐・頭痛・下腹部痛・胸部の違和感・めまい・不正出血などが挙げられます。
ほとんどの場合は服用後数日で治まります。
ホルモンの調節をして子宮内膜を剥がしたことによる消退出血が
服用後3日〜3週間以内に起こります。
3週間が経過しても出血がない場合は、病院で検査をしてもらうことをおすすめします。
また、非常に稀ではありますが、血管の中に血液のかたまりが詰まる病気の
「血栓症」を発症することがあります。
急なめまい、激しい頭痛、ふくらはぎの痛み、視覚がぼやける、手足のしびれ、急な腹痛、
胸痛などの症状が出た場合は、血栓症の可能性がありますので、直ちに病院で診察を受けてください。
いわゆる中絶手術(子宮内容除去術)に比べれば、麻酔に伴うリスク、
身体的・精神的・経済的な負担は格段に低いといえます。
妊娠中絶手術のリスク
人工妊娠中絶手術は、初期か中期かでリスクの度合いが異なります。
初期の中絶手術は麻酔を使用するため、麻酔によるアレルギーを起こす可能性があります。
さらに、子宮内に除去すべき胎児の細胞の取り残し、
また、子宮内感染(下腹部痛、発熱、悪臭を伴う分泌)を起こす場合があります。
初期の場合の手術時間は短時間ですみますが、それでも多くの器具を使用しますので、
子宮穿孔(柔らかい子宮の壁に穴を開けてしまうこと)場合があります。
中期の中絶手術のリスクとして子宮頚管裂傷(子宮頚管が切れて断裂するこ)子宮破裂・子宮の収縮不全などによる多量出血子宮内感染 等(下腹部の激痛、高熱、悪臭を伴う分泌)があります。
また下腹部や骨盤部の痛み、発熱、悪寒もしばしばあります。
さらに、重度の合併症が生じる場合もあります。
腹膜炎や骨盤内血栓性静脈炎や肺塞栓症や敗血症や毒素性ショックなども
わずかですが起こる可能性があります。
この様に、身体的な負担はもちろんのこと、女性の精神面の負担が大きいことは間違いないのです。
避妊の方法は、コンドーム・低用量ピル・精子殺傷剤(避妊フィルム)・IUD(子宮内避妊具)など、
さまざまな方法があります。
コンドームや低用量ピルを日頃から使用している女性も増えています。
最近では、太らないピルなども開発されています。
女性側も避妊に対する意識を高め、体のことを大切に考えた行動を心がけるようにしましょう。
アフターピルを病院で処方された場合の流れと薬価
アフターピルは通常、医師の診察を受け、処方されるものです。
ただし、医師の診察・処方箋がなくても個人での使用に限り、
輸入規定量の個人輸入が認められています。
この場合、服用の際は産婦人科医に相談するということが推奨されています。
ですので、初めてアフターピルを購入する場合は、まずは産婦人科で処方してもらい、
二度目の購入から個人輸入を利用する方がよいでしょう。
価格は取り扱い店にもよりますが、だいたい1箱1錠2,000円前後で、
1度に複数購入すると安くなる場合もあります。
説明書などは通常和訳されていますが、服用に際しては全て自己責任となりますので注意して下さい。
性暴力被害・レイプ被害に遭遇した場合には、警察で申請をして、
診察にかかる費用を公費で負担する制度もあります。
- (2015/06/30)人口妊娠中期手術を更新しました
- (2015/06/03)中用量ピル「プラノバール」による緊急避妊法・費用・副作用を更新しました
- (2015/05/01)アフターピルは中絶なのか?を更新しました
- (2015/04/17)アフターピル服用後の生理周期の乱れを更新しました
- (2015/04/06)アフターピル服用で避妊が成功した場合どのようなことが起こるかを更新しました